第二回目のテーマは食道がん、特に「食道扁平上皮癌」について記述してまいります。
食道扁平上皮癌(ESCC)とは
ESCCは食道の内側を覆う薄い扁平な細胞に発生します。
好発部位は上部および中部食道ですが、食道のどの部位にも発生します。
ESCCは世界的に最もよくみられる食道がんの形態であり、東洋ではESCCが食道がんの中で最も頻度が高い状態が続いています。
アジアやアフリカ、東欧のほとんどの国では、すべてのがんの90%をESCCが占めており、女性よりも男性に好発します。
ESCCの危険因子
先進国では喫煙と過度の飲酒の2つが最も重要な危険因子で、
ESCCの発症率にはこの2つの独立危険因子の相乗効果が認められています。

ESCC発症のリスクは紙巻きタバコの喫煙者では3~9倍に上昇。
リスクが最も高いと報告されているのは紙巻きタバコですが、
パイプ、葉巻、水煙管、噛みタバコといった紙巻きタバコ以外の喫煙や、
アジアでみられる噛みたばこの一種、ビンロウジを噛む習慣についても、ESCCとの関連が認められています。
タバコ曝露の程度および持続時間とESCCのリスク上昇との関連が報告されていますが、これはタバコ特有のニトロソアミンと多環芳香族炭化水素がタバコに含まれる主な発がん性物質と考えられるためです。
アルコール摂取についてはタバコより若干リスクが低いとの報告がありますが、
最大推奨量のアセトアルデヒド(エタノール代謝の最初の代謝産物)を上回るアルコール摂取では、
リスクは有意に上昇します。アセトアルデヒドはグループ1の発がん性物質に分類されています。
ESCCの徴候および症状
 嚥下痛または嚥下困難
 胸骨後方の疼痛
 体重減少
 消化不良、胸やけ
 嗄声、咳嗽
 皮下腫瘤
上記のような症状が現れることが多くあります。
