今回は医薬と宇宙、という意外なつながりのお話をさせていただきます。

2021年から、国内外の実業家などの民間人が、こぞって宇宙空間に向けて飛び立ちました。

電気自動車会社「テスラ・モータース」共同経営者で最近Twitterを買収したイーロン・マスク氏、Amazonの共同創設者ジェフ・ベゾス氏、日本でもZOZO TOWNを開設して有名になった実業家の前澤友作氏など。
そして堀江貴文氏も宇宙事業に投資をしています。
それぞれ宇宙開発、宇宙旅行の推進など目的は異なりますが、宇宙事業は人々関心を集めています。

そのような中、「医学」がどのように宇宙事業とつながっているのでしょうか。

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宇宙医学の役割と目的


NASAや類似するその他の宇宙探査機関は、地球および月から遠く離れた宇宙へと人類を送り届け、探索することを目標として定めています。

興味深いことに、今後数年以内の実施が計画されている有人火星ミッションでこうした目標が達成される可能性があります。
したがって、この有人火星ミッションの間、宇宙での人工的な閉鎖環境でクルーの健康を維持することは、優先的に取り組む必要がある重要な課題の一つです。

すなわち、宇宙ステーションの環境が人体に及ぼす影響を研究する観察臨床試験を実施することは、宇宙医学の進歩において先駆的な役割を果たす可能性を秘めているのです。

宇宙医学は、宇宙飛行士が宇宙空間にいるときの健康状態を研究する発展途上の医学分野です。

宇宙医学の学術的探究における主な目的は、過酷な宇宙環境で人間がどれだけ健康に、またどれだけ長い期間生き延びることができるかを調べるとともに、宇宙から帰還した際にどれだけ速やかに地球の環境に再適応できるかを明らかにすることです。

上記に加えて、宇宙医学では、まだ人類が適応できていない環境で生活することによって生じる困難を軽減するための予防策および緩和策の開発が模索されています。

国際宇宙ステーション(ISS)は、宇宙に滞在する人間の健康について価値ある洞察を得るうえで代替不可能な唯一のプラットフォームです。

ISSが主導する人間の健康に関する研究では、宇宙環境が人間の健康およびパフォーマンスに与える悪影響を軽減することが目的とされています。
ISS National Laboratoryは、基礎科学研究および応用科学研究において、優れた洞察をもたらすことが可能な、研究施設、観測施設および工学研究用テストベッドの役割を担う施設です。

次回は「宇宙での環境の特徴」をお伝えします。